なぜ電動バイクのリチウムイオンバッテリーは寒さに弱いのか?

寒くなると、電動バイクのバッテリーが急激に減る、充電してもすぐに切れる、パワーが出にくいと感じたことはありませんか?これは主に、リチウムイオンバッテリーが寒さに弱い という特性によるものです。

実際、冬場に気温が下がると、多くの電動バイクで航続距離が短くなったり、充電効率が落ちたりする現象が発生します。特に0℃以下の環境では、電池残量が急激に減少したり、バイクが思うように動かなくなったりすることもあります。

「なぜ寒いとバッテリーの性能が低下するのか?」
「どれくらい影響を受けるのか?」
「冬場にできる対策はあるのか?」

本記事では、電動バイクで主に使われるリチウムイオンバッテリーの寒冷環境での特性 を詳しく解説し、寒い時期でも快適にバイクを利用するための対策について紹介します。

リチウムイオンバッテリーとは?

最近はよく街でよく見かけるようになった電動キックボードや電動バイク。その電動バイクの動力源は電気モーターとなり、バッテリーから電力を供給して駆動します。

そのバッテリーは主にリチウムイオンバッテリーが用いられています。

Sun Emperorの製品である、SS1やEasy、SUNRINもその1つです。

リチウムイオンバッテリー(Li-ion)の基本構造

まず、リチウムイオンバッテリー(Li-ion)の基本構造について簡単に説明します。
リチウムイオンバッテリーは以下の3つの主要な要素で構成されています。

正極(カソード): リチウム化合物(例:リチウムコバルト酸化物)
負極(アノード): グラファイト(炭素系材料)
電解液: リチウム塩を含む有機溶媒

充電や放電の際にリチウムイオン(Li+)が電解液を通じて正極と負極を行き来することで、電気エネルギーを蓄えたり放出したりします。

電動バイクにリチウムイオンバッテリーが使われる理由

従来の電動バイクには、一般的なガソリン自動車の補器バッテリーで用いられている、鉛蓄電池(シールドバッテリー)が使われることもありました。
しかし、リチウムイオンバッテリーは以下のメリットがあるため、最近では主流になっています。

  1. 軽量で高エネルギー密度
    • 鉛蓄電池よりもエネルギー密度が高く、同じ重量でも長距離走行が可能。
    • バイクの軽量化にも貢献し、取り回しが向上する。
  2. 充電時間が短い
    • 急速充電が可能で、短時間で再利用できる。
    • 鉛蓄電池のように長時間充電する必要がない。
  3. 長寿命で劣化しにくい
    • 充放電サイクルが多く、適切に使用すれば数年にわたって利用可能。
    • メモリー効果(充電回数による容量低下)が少ない。
  4. 環境負荷が少ない
    • 鉛を使用しないため、環境への影響が比較的少ない。
    • リサイクル技術の発展により、再利用の可能性が広がっている。

リチウムイオンバッテリーの弱点

ここまでの内容を見ると、リチウムイオンバッテリーは鉛蓄電池に比べメリットがたくさんあり、とても魅力的なバッテリーといえます。

一方で、リチウムイオンバッテリーにも弱点があります。その一つが「寒さに弱い」という点です。
気温が下がると、バッテリーの性能が低下し、航続距離が短くなったり、充電効率が悪くなったりします。

では、なぜリチウムイオンバッテリーは寒さに弱いのか?次の章で詳しく解説していきます。

なぜチウムイオンバッテリーは寒さに弱いのか?

電動バイクに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、気温が下がると急激に性能が低下するという特性を持っています。例えば、冬場にバイクを使用すると、航続距離が短くなったり、充電に時間がかかったり、最悪の場合は起動しなくなることもあります。

では、なぜ寒くなるとバッテリーの性能が落ちるのでしょうか?その理由を詳しく見ていきましょう。

リチウムイオンの移動が遅くなる

リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオン(Li+)が電解液の中を移動し、正極と負極を行き来することで電気を生み出す仕組みになっています。
しかし、寒冷環境では 電解液の粘度が上がり、リチウムイオンの移動が遅くなる ため、充放電の効率が大きく下がってしまいます。

✅ 常温(25℃)では…
→ リチウムイオンはスムーズに移動し、バッテリー性能を最大限に発揮できる。
✅ 寒冷環境(0℃以下)では…
→ リチウムイオンの移動が遅くなり、エネルギー供給が滞る。
電圧が低下し、出力が弱まる。
特に マイナス10℃以下になると、イオンがほとんど動かなくなり、バッテリーが機能しなくなる こともあります。

化学反応が低下する

リチウムイオンバッテリーの充放電は、化学反応 によってエネルギーを生み出しています。しかし、気温が下がると化学反応の速度も低下 してしまいます。

気温と化学反応の関係

  • 一般的に、化学反応の速度は 温度が10℃下がると約半分 になると言われています。
  • 例えば、25℃での充放電速度を「100」とした場合、0℃では 約50%の効率 になり、-10℃では さらに半分以下(20〜30%) にまで低下することがあります。

つまり、寒い環境ではバッテリーが「充電しにくい」「放電しにくい」状態になり、エネルギーをうまく供給できなくなる のです。

内部抵抗が増加する

リチウムイオンバッテリーは、バッテリー内部の電気抵抗(内部抵抗)が増加すると、電圧が急激に低下 する特性があります。

低温環境では、以下の現象が起こります。
電解液が固くなる → 電気が流れにくくなる
電極の電子移動が遅くなる → 出力低下

これにより、

  • バイクの加速が悪くなる
  • 電池残量が急激に減ることがある
  • バッテリーがすぐに切れるように見える

といった症状が発生します。
特に、満充電の状態でも、寒いと「バッテリーが空になったように見える」 ことがあるため、「バッテリーが故障した」と勘違いするケースも多くあります。

低温環境では自己放電が進む

リチウムイオンバッテリーは、時間が経つと 自然にエネルギーを消費する(自己放電) という特性があります。
しかし、低温環境ではこの自己放電が加速することが知られています。

特に、電動バイクを冬場に 長期間放置すると、気づいたときにはバッテリー残量がほぼゼロになっている こともあります。
これを防ぐためには、長期間使わない場合はバッテリーを外して室内で保管する ことが重要です。

低温時の充電はバッテリー寿命を縮める

リチウムイオンバッテリーは、0℃以下の状態で充電するとバッテリー内部にダメージを与える 可能性があります。
これは、低温下での充電時に、負極(アノード)にリチウム金属が析出しやすくなる ためです。

リチウム金属が析出するとどうなる?

  • バッテリー内部に微細なリチウムの結晶(デンドライト)が発生
  • 内部短絡(ショート)のリスクが増加
  • バッテリー寿命が大幅に短くなる

そのため、寒冷地ではバッテリーが冷え切った状態で充電しないことが重要 です。
理想的なのは、走行後にバッテリーが温まった状態で充電する ことです。

どれくらい影響を受けるのか?

リチウムイオンバッテリーの性能は、気温によって大きく変動します。
以下の表は、気温ごとのバッテリー性能の目安です。

気温(℃)バッテリー性能の変化(満充電時)
25℃(常温)100%(最大性能)
10℃約90%
0℃約70%
-10℃約50%
-20℃ほぼ使用不可(充電禁止)

このように、気温が下がるほどバッテリー性能は低下し、-10℃以下では通常の半分以下の性能 になってしまいます。

冬場にできる対策は?

寒冷環境ではリチウムイオンバッテリーの性能が低下することは避けられませんが、適切な対策を取ることで バッテリー寿命の低下を最大限防ぎ、冬場でも電動バイクを快適に使うことが可能です。

ここでは、寒さによる影響を最小限に抑えるための具体的な方法を詳しく解説していきます。

走行・充電前にバッテリーを温める

リチウムイオンバッテリーは 気温が低い状態で充電や放電を行うと、劣化が早まり、航続距離が短くなる という特性があります。そのため、できるだけ バッテリーを適温(10〜25℃)に保つことが重要 です。


バッテリーを温める方法

  • バイクを使用する前に、バッテリーを室内(暖房のある場所)で保管する
    → 走行直前まで温かい環境に置くことで、低温による電圧低下を防ぐ。
  • 走行前にバッテリーを手で温める
    → 体温程度の温度(30〜35℃)に上げるだけでも性能が向上する。
  • 可能であれば、直射日光が当たる場所にバイクを置く
    → 冬場でも日中なら、バッテリー温度を多少上げることができる。

充電のタイミングに注意する

低温環境での充電は、バッテリーの劣化を早めるリスク があります。特に 0℃以下では、リチウム金属の析出が起こりやすくなり、内部短絡(ショート)の原因 になるため注意が必要です。

正しい充電のタイミング

  • 充電はバッテリーが温まった状態で行う
    → 走行後、バッテリーがまだ温かい状態で充電するのが理想的。
  • 屋外ではなく、室内で充電する
    → 気温が低いガレージや屋外ではなく、できるだけ暖房のある環境で充電する。

冬場のバッテリー保管方法

冬の間に電動バイクを 長期間使用しない場合(冬季休眠モード) は、バッテリーの保管方法にも注意が必要です。

正しいバッテリーの保管方法

  • できるだけ暖かい場所で保管する
    → 室内で保管し、0℃以下の環境を避ける。
  • 定期的に充電を行う
    → 1ヶ月に1回程度、バッテリーの充電レベルを確認し、必要なら補充電する。

特に、冬場にバイクを放置するとバッテリーが深放電(完全放電)し、最悪の場合、充電不能になる ことがあります。
この状態になるとバッテリーの寿命が著しく短くなるため、定期的にチェックすることが重要 です。

走行時の工夫

寒冷環境での走行時に少し工夫をすることで、バッテリーの消耗を抑えることができます。

走行時のポイント

  • 急加速・急発進を避ける
    → 低温時はバッテリーの出力が制限されているため、急な負荷をかけると消耗がより激しくなる。
  • 走行距離を短めに設定する
    → 冬場は通常時より航続距離が短くなるため、事前に走行可能距離を把握する。

まとめ

電動バイクに搭載されている リチウムイオンバッテリーは、寒冷環境に弱い という特性を持っています。
気温が下がると リチウムイオンの移動が遅くなり、化学反応の効率が低下し、内部抵抗が増加 するため、バッテリーの出力が落ち、航続距離が短くなります。

特に 0℃以下になると性能が大きく低下し、-10℃以下では50%以下の出力 しか発揮できないことが一般的です。さらに、低温下での充電はバッテリー劣化を早める原因 になるため注意が必要です。

しかし、冬場でも適切な対策を行うことで、電動バイクの快適な運用が可能になります。


冬場にリチウムイオンバッテリーを長持ちさせるためのポイント

バッテリーを温めてから使用・充電する
低温時の充電を避け、走行後に充電する
長期間使用しない場合は暖かい室内で定期的に充電を行い保管する
冬場は航続距離が短くなることを考慮し、走行計画を立てる

これらの対策を実践することで、寒冷環境でも電動バイクを快適に運用し、バッテリー寿命の低下を防ぐことができます。

Sun Emperorの「Easy」 & 「SUNRIN」なら冬場でも安心!

寒冷環境での電動バイクのバッテリー性能低下は避けられませんが、Sun Emperorの 「Easy」「SUNRIN」 は、冬場でも快適に使用できるように設計されています。

✅ バッテリーの脱着が可能!

「Easy」と「SUNRIN」はどちらも バッテリーが脱着式 になっているため、寒い屋外に置きっぱなしにせず、自宅内で保管・充電が可能 です。
冬場は特に、バッテリーを室内に持ち込んで保温し、適切なタイミングで充電 することで、低温による性能低下を最小限に抑えられます。

画像はEasy

✅ 充電しやすい設計で冬場の運用もスムーズ

脱着式バッテリーは、コンセントのある場所で簡単に充電できるため、寒冷地でも充電環境に困ることがありません。
特にマンションやアパートなどで駐輪場にコンセントがない場合でも、バッテリーだけを室内に持ち込めるので、充電のしやすさは抜群!

画像はSUNRIN

✅ シティユースから業務利用まで幅広く対応

「Easy」はコンパクトで持ち運びもしやすく、折りたたみ式のため冬場の移動にも便利。
「SUNRIN」は安定性の高い三輪構造を採用しており、寒い日の路面でもしっかりとした走行性能を発揮 します。
どちらも、冬場の通勤・通学や近距離移動に適した電動バイク です。

※路面凍結や視界不良がある場合は、大変危険ですので走行をお控えください。

画像はEasy

✅ 大容量バッテリーを搭載

「Easy」と「SUNRIN」は13Ahという大容量のバッテリーを搭載しております。
「Easy」は最大80Km、「SUNRIN」は最大60Kmの距離を1回の充電で連続走行が可能な性能を持っています。
寒冷環境ではバッテリーの消耗が早くはなりますが、大容量バッテリーだからこそ、冬場での移動距離を確保できます

画像はSUNRIN

✅ 冬場でも安心して乗れるSun Emperorの電動バイク

Sun Emperorの「Easy」と「SUNRIN」は、大容量&バッテリーの扱いやすさと、電動バイクならではの快適な走行性能を両立。
「冬場でも快適に電動バイクを使いたい!」という方は、ぜひ Easy& SUNRIN をチェックしてみてください!

特定小型原付 Easy

特定小型原付『Easy』は、16歳以上の学生の通学や、免許返納後のシニアの方の移動手段、若者から年配者の方まで幅広く愛用頂ける、新たなパーソナル電動モビリティです。

Easy 基本スペック

・区分:(特例)特定小型原動機付自転車
・展開サイズ:全長:1,310mm 全幅:590mm 全高:1,080mm

・折り畳みサイズ:全長:730mm 全幅:560mm 全高:600mm
・車体重量:約25.7kg(バッテリー含む)
・バッテリー重量:約4.1kg
・最大荷重:120kg
・適応身長:140cm以上
・ブレーキ:前後ディスクブレーキ
・走行モード:車道/歩道
・速度:車道走行モード最高速度20km/h/歩道走行モード最高速度6km/h
・バッテリー:リチウムイオン(48V・13Ah)
・モーター:後輪駆動500W
・走行可能距離:最大80Km
・充電時間:約7時間¹
・タイヤサイズ:14×2.125インチ
・保証期間:購入より1年
・付属品:充電器・簡易工具・説明書
・型式認定番号:JATA-0107

*¹ 充電時間は、バッテリー残容量により変わります。
*² 当社調べの為、走行時の気象・道路状況などの諸条件によっては走行できる距離は変わります。
※仕様は予告なく変更する場合がございます。
☆バックミラーは簡単な取り付け作業が必要です。

特定小型原付 SUNRIN

特定小型原付『SUNRIN』は、日常使いに便利なカゴが標準装備した三輪モデル。 ”またがらない””座って乗れる”新感覚の三輪特定原付。

SUNRIN 基本スペック

・区分:(特例)特定小型原動機付自転車
・展開サイズ:全長:1,230mm 全幅:590mm 全高:1,040mm
・折り畳みサイズ:全長:1,230mm 全幅:590mm 全高:720mm
・車体重量:約32.8kg(バッテリー含む)
・最大荷重:120kg
・適応身長:140cm以上
・ブレーキ:前後ディスクブレーキ
・走行モード:車道/歩道
・速度:車道走行モード最高速度12・20km/h/歩道走行モード最高速度6km/h
・バッテリー:リチウムイオン(48V・13Ah)
・モーター:後輪駆動400W
・走行可能距離:最大60Km*²
・充電時間:約7時間¹
・タイヤサイズ:10インチ
・保証期間:購入より1年
・付属品:充電器・簡易工具・説明書
・型式認定番号:申請中

*¹ 充電時間は、バッテリー残容量により変わります。
*² 当社調べの為、走行時の気象・道路状況などの諸条件によっては走行できる距離は変わります。
※仕様は予告なく変更する場合がございます。
☆バックミラーは簡単な取り付け作業が必要です。

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